システミック・リスクと社会経済システムのレジリエンスに関する研究
日本学術振興会科学研究費補助金(B)(#26282089)
A study on resilience from systemic risks in the socio-economic system
JSPS grant: no. 26282089
研究期間:2014年~2016年
研究目的
今日の社会経済システムは複雑ネットワークとアルゴリズム支配によって特徴づけられ、そこから派生する固有のシステミック・リスクに脅かされている。リスク処方箋は、リスクの所在の可視化によって引き出されるが、従来の研究は局所的な研究に留まり、 (1)お金の流れ(金流)、(2)人の流れ(人流)(3)モノの流れ (物流)の「多層なネットワーク」に分解し、モデリングとデータ解析の両面から連鎖型リスクの発生メカニズムの所在をより包括的に解明したことはなかった。これまで等閑視されがちであった人流と物流の特徴を実装し、システムのレジリエンス評価のための実践的なデータ駆動型モデルシミュレーション基盤を構築する。これによって社会経済システムの各局面に固有のレジリエンスを適切に実装し、社会経済システム全体をシステミック・リスクから防御・早急に復旧するため方法論を開示し、次世代の政策基盤としたい。
研究計画・方法
社会経済システムを異質的相互作用の観点から捉え、経済学、経済物理学、情報工学の学際的連携により、「金とモノ」と「人とモノ」との多層的な次元で、複雑ネットワークのシミュレーションモデリングおよび実データ解析の方法により、以下の7工程を経て「レジリエンスの評価基盤」を確立する。
- 実物・金融リスクの基礎的研究
- モノと人の社会経済データベースの構築
- 金融のモデリングとシミュレーション
- リスク共有とシステミック・リスクの緩和法の確立
- 社会経済システムのレジリエンスに関する評価基盤の確立
- モデルの構築とシミュレーションによる解析
- 社会経済システムのレジリエンスに関する総合評価
なお、各工程で必要に応じてETHリスクセンターと連携、平成27年度に国際ワークショップ開催を予定する。
メンバー
- 有賀裕二 中央大学 教授(主査)
- 佐藤浩 防衛大学校 准教授