今回の研究の目的は、前回の研究で用いた株価モデルをより現実に近いものに することである。特に、dealerの競争 に焦点を当ててモデルを変更する。以下に変更点を列挙する。

株価モデルの実験メモ2
○ ciを平均値c分散2/3の一様乱数にする (25,Sep,97)
○ ciの変更頻度による影響 (13,Oct,97)
○ ciの平均と分散による影響 (11,Nov,97)


(Sep,25,97)

○ ciを平均値c分散2/3の一様乱数にする

変更点
ciを平均c分散bの一様乱数にする
資本金が1ステップ前と比較して減少している場合は別の ciに変更する
ここで、(資本金)=(お金)+(証券の時価)と定義し、ステップ毎に もっとも最近に行なった取引時の資本金と現在の資本金を比較して、減 少しているならciを平均c分散2/3の一様乱数で起きかえる。

平均値cを[0.8,1.2]の間で変化させながらシミュレーションを行なう。 計算回数は105〜5×106の間でおこなった。
c = 0.8 (累積分布
c = 0.9 (累積分布
c = 1.0 (累積分布
c = 1.1 (累積分布:計算回数を増やすと発散)
c = 1.2 (累積分布:発散)

c=1.1以上では発散していまった。1.0に近いcに対して計算回数を増やすと、 べき分布に収束しているように見える。また、cが一定の場合のモデルと同様に cの値によるべき指数の変化も見られた。

考察:cが一定の場合のモデルに乱数成分が加わったと考えると、乱数成 分による過去の価格変動ΔPprevの影響は、ディーラー全 体では、キャンセルされることになる(競争によって、この平均値がず れていくことは十分に考えられる。その場合自動的にcが動くことを意 味すると考えられる)。よって、乱数成分を加えた影響は、和のノイズ を発生するメカニズムに変化を与えたにすぎないと解釈することがで き、べきの発生を十分に説明できる。
(Oct,13,97)
○ ciの変更頻度による影響
前回はci分布させたのに加え、 ciを毎回変更していたが、変更頻度を変えて時系列の様子、 累積分布を観察する。時系列の変更ルールは前回と同様で、「資本金 が減少しているならciを変更する」といるルールを採用す る。
Tステップ毎に変更を思案することとし、Tを0から10000までの間で変え ながらシミュレーションを行なう。c=0.95で固定。計算回数 LOOP=106で固定する。

T=1 (時系列| 累積分布)
T=5 (時系列| 累積分布)
T=10 (時系列| 累積分布)
T=50 (時系列| 累積分布)
T=100 (時系列| 累積分布)
T=500 (時系列| 累積分布)
T=1000 (時系列| 累積分布)
T=5000 (時系列| 累積分布)
T=10000 (時系列| 累積分布)

ciを毎回変更するようにしなければ、時系列に間欠性があ らわれ、累積分布もべき分布からはずれていた。これは、毎回変更す ることで、売り手、買い手の立場を反映するようにciが調 整されているのだと考えられる。すなわち、売り手でciを 平均値より大きくとっていると売買に参加できなくなり、反対に、買 い手でciを平均値より小さくとっても利益を上げることが できず、ciは変更され続け、各ai(t)に見当っ たciが実現されていると考えられる。今後、 ciを変更する場合に、決った平均値と分散の乱数を与える 必要があるのかをシミュレーションで検証する必要がある。
(Nov,11,97)
○ ciの平均と分散による影響
ciを区間 [c0-cdev,c0+cdev] の一様乱数とする。これは、平均〈c〉= c0分散V(c) = c2dev/3のノイズに対応する。ci の平均と分散を変えながら、価格差の変動の累積分布を求める。ここ で、変更頻度T=1で固定する。

c = 0.2 (累積分布
c = 0.3 (累積分布
c = 0.4 (累積分布
c = 0.5 (累積分布
c = 0.6 (累積分布

平均〈c〉が大きいほど、分布は時定数の大きな指数分布になる。また、分散V(c)が大きいほど、同じく時定数の大きな指数分布になる。べき分布になるためには、V(c)を極めて小さくとるか、アルゴリズムを変更する必要がるようである。

Modified: 26, Sep, 1997